コラム

ツールボックスミーティングとは?安全衛生活動について解説

2023年12月28日

ツールボックス(作業箱)ミーティングは作業開始前に行う5~10分の短いミーティングです。
英語の頭文字を取ってTBMと表記される場合もあります。

重大な事故を未然に防いだり、危険を事前に察知したりするのが目的です。
本記事では、安全衛生活動の一つの手法のツールボックスミーティングとは何かを解説します。

さらに安全衛生活動のほかの活動内容も紹介しますので、ご覧ください。

ツールボックスミーティングとは?安全衛生活動について解説

ツールボックスミーティングを行う目的と方法とは

ツールボックスミーティングは、現場作業などで作業開始前に行う5~10分ほどのミーティングです。
よく危険予知活動(KYK)と比較されるときもあります。

現場で行う打合せの一つで、作業道具の置き場近くで行うために名付けられました。
英語の頭文字を取りTBMと表現される場合もあります。

安全衛生活動や危険回避の目的で実施

ツールボックスミーティングを行う目的は、危険や事故を未然に防ぐためです。
作業開始前に5〜10分ほどの短い時間で実施します。
実際に作業する内容を確認し、発生しそうな危険や事故の未然防止が可能です。

重大事故は、機械などの作業で使用するものと、作業中の不注意の2つの状態が重なり起こります。

作業を開始する前に、使用する機械や作業内容を確認するため、事故を未然に防止できます。
事故防止だけでなく、作業の効率アップもできるため一石二鳥といえるでしょう。

作業を開始する前に短時間で実施

ツールボックスミーティングの実行方法は次の3つの手順で行います。

1.事前に作業内容を確認
2.危険ポイントのチェック
3.事故を起こさないような方法を確認

トヨタ紡織では、5段階ツールボックスミーティングを行っています。
5段階とはミーティングの時間を表し、朝礼後と午前10時、昼食後と15時と作業終了後の5つです。
5回のミーティングで、作業内容の確認や状況変化、働く作業員の状態変化などを確認しています。

ツールボックスミーティング以外の安全衛生活動とは

作業現場の安全衛生を守るための活動の一環として、安全衛生活動が行われます。
安全衛生活動でほかの方法として比較されるKY(危険予知)訓練との違いや、ほかの安全衛生活動について解説します。

・危険予知(KYK)
・4S(5S)
・ヒヤリハット報告

安全衛生活動は危険や事故を防止するためだけでなく、職場環境を整えるためにも必要です。
それぞれの違いを見ていきましょう。

危険予知(KYK)

作業状況や工程において危険要因や発生する現象を、事前に理解する活動もしくは訓練を指します。
危険予知は基礎4ラウンド(R)法と呼ばれる4つのラウンドを用いて実施します。

・ラウンド1:現状把握
・ラウンド2:本質追求
・ラウンド3:対策樹立
・ラウンド4:目標設定

具体的に行う内容は、次のとおりです。

ラウンド1の現状把握では、作業する現場の様子や流れを再現します。
再現する方法は、イラストシートを活用するか実際の作業を再現する方法の2つです。

ラウンド2の本質追求では、ポイントや行動目標を決定し復唱もしくは指さし呼称で理解を深めます。
ラウンド3の対策樹立では、作業中に潜む危険要因と引き起こす原因を、メンバー間で話し合い理解します。
ラウンド4では、話し合い理解した内容を絞り込み目標を設定したら終了です。

危険予知を事前に実施すると集中力を高めたり、問題解決力が向上したりするなどの効果を得られます。
また、安全を先取りする職場風土づくりにも役立ちます。

4S(5S)

4S(5S)活動とは、安全かつ健康的な職場づくりを目指し、生産性の向上を目指す活動です。
それぞれ次の言葉の頭文字を取って命名されました。

1.整理(Seiri)
2.整頓(Seiton)
3.清掃(Seisou)
4.清潔(Seiketsu)
5.躾(Shitsuke)

躾を除き4S活動とする場合もあります。
具体的な行動は次のとおりです。

・現状を把握し不要品や不良品を分類
・必要品の置き場所や置き方のルールを決定し所定の位置に配置
・清掃のルールを定めて実施
・定期点検を行い習慣付け

4S(5S)活動を実施すると、労働災害の予防や作業の効率化、労働環境の向上効果が継続できます。
4S(5S)活動は、海外では馴染みがなく日本独自に進化しました。
外国人への理解を助けるために自治体ではマニュアルや動画教材などを作成しています。

ヒヤリハット報告

ヒヤリハット報告とは、ヒヤリとする体験やハッとした経験をつなぎ合わせて命名されました。
重大な事故や災害につながりかねない出来事や体験を意味します。

ヒヤリハット報告は、アメリカで損害保険会社で安全技師のハインリッヒが発表した「ハインリッヒの法則」を基にして作られました。
ハインリッヒの法則とは、重大事故1件の背景には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがあるというものです。

ヒヤリハットの件数の増加は、重大事故が発生する危険性の増大を示しています。
発生した段階で報告するように体制を整えて情報共有すると、重大事故を防止できます。

まとめ

ツールボックスミーティングを行うと、作業内容の事前チェックが可能です。
事故を未然に防ぐだけでなくコミュニケーションを円滑にする効果も期待できます。

安全衛生活動の継続により、重大な事故や危険な事象の未然防止も可能です。
ただし、現場で作業を監督する者が、安全についての知識を持たなければ安全対策が不足してしまうでしょう。

安全衛生活動を行うには、実際に作業する方と管理監督する立場の方の両方に教育を施す必要が重要です。